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買い物に行った時のこと

週末に買い物に行った。

大きなショッピングセンターで食事に入ろうとしたら、
小さな女の子が私の横を通り過ぎて行った。
泣いている。
涙をぬぐいながら向こうへ行ってしまった。
気になって見ていると、突き当りでくるりと振り返ってまた歩いてくる。
真っ赤な顔からは涙がポロポロと。
手で涙を拭いながら、パパー、パパーと泣いている。

辺りを見回したけれど、父親らしき人はいないし、
週末の人混みの中、みんなその子に気づかない。
どうしようと思っている内に、その子は私のすぐ近くまで戻って来た。
あんな小さい子ひとりで、こんなにたくさんの人の中、怖いだろうな。
思わずしゃがんで、大丈夫?と聞いた。
すると一層大きな声でうわーーー、と泣いた。
パパがいないー、と。
反射的に、右手を伸ばした。すぐにつかまってくる、小さくて赤い手。
髪を長く伸ばした、小さな頭を撫でる。

迷子サービスまで連れていってあげようと思い、
まだ全力で泣いていたけど、少し話しかけてみる。
パパいなくなっちゃったんだ、こわかったね。
大丈夫大丈夫。パパ、きっといるよ。
お店の人に、探してもらおうね。

名前を教えてもらうと、
手を繋いだまま、一緒に歩き出した。
こんなに小さくて、柔らかいのか。
その感触に驚いた。
そして、熱い。

何だかとても愛しかった。

ああ、私は、自分の子供と、こういう風にすることはないんだな。
と思った。

前にも散々書いているけれど、子供を持つことに関して真剣に考える前に病気になってしまったので、
夢が奪われたような悲しみはない。
でも、選択肢がもうないんだ、ということを静かに悟っていくというステージは
やはり荒涼としたものだ。

私は、私の子供に会いたかったのかな?
そこまではっきりとは思っていない。
ただどうしても、周りが家族を持ち、子供を育てているのを見るにつけ
自分の体温が少し低くなるような感覚がある。

このステージは、淡々と、通り抜けたい。

ネット経由で見られるのは、親となった知り合いの姿だけではない。
既婚未婚にかかわらず、色々な理由で子供を持たない先輩たちもけっこういる。
直接、こういうことは話さないけれど
そういう生き方を参考にさせてもらおう。

後付けの被害妄想は、自分には必要ないから、
今日はそのことを、自分に言い聞かせようと思う。



















by reeelax | 2016-09-30 03:12 | 覚えておきたいこと

34歳 シングル 始まりは乳がんstageⅢC。術前化学療法・部分切除・放射線治療・術後ハーセプチンまで終了。現在ホルモン療法中。自分の心と体を大事な友人のように扱いながら治療の日々を過ごしてきました。


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