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信頼できる友達

昨日書いたように、職場では一線を引いた付き合いにしている私。
それが叶うのはアルバイトという立場だからというのもあるし、
職場の外に信頼できる友人達とのつながりが戻って来たからだと思う。

一時、友人にも病気のことを伝えるかどうかでかなり悩んだことがあったけれど
時を経て、「この人なら大丈夫」と伝えられるひとがひとり、ふたり、さんにんと増えた。

髪の毛が元通りになり、むくみも取れてきたから、心にも余裕ができたのか、
「この人には言っても大丈夫」「この人には病気のことはまだ語るのをやめておこう」「この人とは距離を置こう」
という気持ちが自然に湧いてくるようになったのだ。

これは、自分の記録なので書いておこうと思うが
幸運なことに温存が叶い、気持ちの面でも、洋服や温泉など物理的な面でも術前と変化がないので
自分でも少しずつ垣根を下げられたのかもしれない。
普段の何気ない集まりだけでなく、温泉旅行や、南国への旅行などについて
変わりなく話すことができる、そういう場所をまた手に出来たことが
本当にありがたいと思う。
また、治療の間、連絡を取ることをやめてしまった私を
暖かく受け入れ、何気なくまた一緒に笑い合ってくれる友達は
本当に大事にしようと思う。

仕事をしていた時は、人とのつながりも半ば仕事に関係してくるような所もあって
ちょっと計算ずくで、
あまり気の進まない人とも満遍なくうまくやらなければと思い込んでいるようなところがあったけれど
今、そういうのが整理されてみると
私の心の中にあるのは「さみしさ」ではなく「すっきりとした安心」
だったりする。
あきらめとは違う、何か新しい人生のステージを、本当に迎えているんだと思う。

片付けの本を読んでいた時に書いてあったことだと思うが
荷物が多くて片付かない原因のひとつに、
持ち主が、自分のライフステージが変わっていることに気づかずに、
既に通り過ぎたステージで必要だったものを、今も必要だと思いこんで
手放せなくなっているということがあるということだった。
結婚や出産というのは、かなりわかりやすいライフステージの変化だけど
病気をして、新しいライフスタイルを選択すると決めた私も
新しいステージを迎えているはず。
本当に今の自分に必要なものが何なのか、よくよく見る時なんだと思うし
また、無理しなくても、自然に見えてくる時なんだと思う。
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by reeelax | 2011-01-28 09:07 | 治療後①アルバイト

社会復帰で自分を守るためにやってきたことは

今年も1年、新しい年。

自分のペースを保つというのは、本当に難しい。
今、それが一番の課題のように思う。
私が新しい職場という環境でどのように過ごしているか、
今日はそれを書きとめておきたいと思う。

治療中は、ひたすらに、今日を明日を生きるんだという気持ちで過ごして来た。
知りたくないこと、関わりたくないことを徹底的に遮断して
ポジティブになれるものをたくさん集めて、全力で心地良さと平和をさがした。
人工的につくった、ゆるやかな繭の中でひっそりと安全に過ごしていた。

その繭を卒業し
社会に出るということは
良いこともたくさんある代わりに
今の自分にとって負担になるようなことや
聞きたくないことが必ず出てくるはずだというのはわかっていた。
それでも私は社会と関わりを持って、自分なりに人生を進んで行きたいのだから、
そういう「嫌なこと」が起こっても、悩みすぎず、軽くやりすごして行こうと考えてアルバイトをはじめることにした。治療後、すみやかに元の仕事に戻られる方もたくさん居るようだけれど、私はその道を選ばなかった。
激務で不規則、出張も多く、色々な意味でフットワークの軽さを求められる。
今の自分には似合っていないと思ったし、
改めて、自分らしい生き方を探してみようと思ったからだ。

今までずっと学んでみたかったことをしに、学校へ通う傍ら、
偶然見つけた関心のある業種の募集で採用され、アルバイトは始めることにした。
もちろんお金のためもあるし、そして履歴書の穴をつくらないためでもある。
今後私がどんな人生を送るのかわからないけれど
どんな仕事でも、履歴書上埋まっていれば、説明はいくらでもできる筈だと思っている。


職場は小さく、人間関係は楽である。まずそこがよかった。

病気であったこと、休職していたことを言わなかったから
それを黙っているということに慣れなくて、心がざわざわするような感じがした。
したけれども私は自分の病気の事を言うつもりはない。
いわれのない偏見で傷つくのは私自身だ。
劣等感などからとかく他人に当たる人というのは必ずどこにでもいるもの。

術側の手を上げるのがだるかったり、ちょっとした時に術側で荷物を受け取るのにひやりとしたり。
周りには「昔スポーツをやっていた時に、肩の手術をした」と軽く言っておき
ドレナージュをしていてもそこまで注目されないようにした。
嘘も方便ということで自分を納得させている。

女性同士でのおしゃべりには当然こんな話題が出てくる。
婦人科検診の話題。マンモグラフィーのことも。
同じ病気で命を落とした方のこと、カミングアウトした芸能人のこと。
そんな時、積極的に会話に参加することはないけれど、平然と聞き流せるようにもなった。
私が一番楽だったのは、
診断を受ける前の自分だったらどんなリアクションをするかということを想像して
振舞うこと。
ただ、検診の知識などは上乗せして、会話に参加してみたりもする。

周りはみな、私より5歳以上も若い女性たち。
仕事の他にも恋愛やファッションや遊びに本当に一生懸命。
少なくとも上辺はそうなので
今の所、私が何かを分かち合うつもりはない。
当たり障りなく、学校と両立するためにアルバイトに切り替えたという風に伝えていて
それで終わり。

職場おわりで食事や遊びにも声をかけてくれることもあるけれど
お誕生日や忘年会などイベント時以外は
「今日は先約があるから、本当にごめんね」「学校の課題があるから」と丁重にお断りする。
昔だったら、お誘いにのっていただろう。
皆と仲良くなった方がいいし、断りづらい。
でも今は、無理はしない。
体力もつらいし、喫煙者もいる夕食の席は正直気がすすまない。
そして、高いブランド物や最新のファッションなど物欲満載のトークは、今の私には本当に興味が持てない話題だったりもするし、意識して考えないようにしてきたことでもあるので、なんだかせつなくなるのだ。
それに、いくら方便とは言え、色んな言い方で自分を偽りぎるのも面倒。

いずれこのアルバイトは卒業する予定なのだからという割り切りをもって
自分の意思をすこし優先させてもらう練習をしてきた。

アルバイトの内容自体は、ほどほどに負荷があって
働く、ということを思い出せるような業務だった。
だから偶然とは言え、このタイミングで出会うことができたのは
意味があるんだと思い、感謝の気持ちだ。

こんなところが、私の職場でのスタンス。
そして今、本当に、そろそろ卒業かなあと思うようになって来た。
自分の体力のキャパが大分上がってきたことと、
術後2年という区切りが見えてきたこと
また、ひょんなことからもとの職場の仲間と再会する機会があり、
一部の人に対しては、自分の中での気後れが大分薄らいでいたことに気づき
少しずつ病気を受け入れ、こういう人生を引き受けはじめている自分に気づいたからだ。
時間の流れというのは面白いものだなあと思う。
私のように、そこまでネットワーキングに積極的でない人間でも、
自分でつながっていたいと思っていた人とはこうしてまた細くつながれるタイミングが
いつか来るのだということを知った。

30代の前半でがんになってきついと思うことは
人生経験にあまり幅がなく、考え方に余裕が生まれにくいことだと思う。
病気をして、もちろんそのことで自分は成長したと思うけれども
これからも伸び代があるんだろうと思うし、何でも知った気になって止まってはいけないのだと思う。
それは忘れずにいたい。

アルバイトをしながら、本当に何度も、自分の今後のことを考えた。
どんなことが得意で、どんな仕事をしたいのかとか、
勉強したいこと。
家族やパートナーや友達のこと、
どんな場所に住みたいのか、生活のレベルのこと。
再発した時のこと。
そしてすべてについてくるお金のこと。
そして周りのノイズ。
やはり比較と競争がある社会。
それを私は泳いで行きたい。
一番でなくても、華やかでなくても、羨ましがられなくても、
今の自分が自分でいて良い、そういう場所があるはずだから。
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by reeelax | 2011-01-27 13:02 | 治療後①アルバイト

34歳 シングル 始まりは乳がんstageⅢC。術前化学療法・部分切除・放射線治療・術後ハーセプチンまで終了。現在ホルモン療法中。自分の心と体を大事な友人のように扱いながら治療の日々を過ごしてきました。


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