カテゴリ:覚えておきたいこと( 7 )

買い物に行った時のこと

週末に買い物に行った。

大きなショッピングセンターで食事に入ろうとしたら、
小さな女の子が私の横を通り過ぎて行った。
泣いている。
涙をぬぐいながら向こうへ行ってしまった。
気になって見ていると、突き当りでくるりと振り返ってまた歩いてくる。
真っ赤な顔からは涙がポロポロと。
手で涙を拭いながら、パパー、パパーと泣いている。

辺りを見回したけれど、父親らしき人はいないし、
週末の人混みの中、みんなその子に気づかない。
どうしようと思っている内に、その子は私のすぐ近くまで戻って来た。
あんな小さい子ひとりで、こんなにたくさんの人の中、怖いだろうな。
思わずしゃがんで、大丈夫?と聞いた。
すると一層大きな声でうわーーー、と泣いた。
パパがいないー、と。
反射的に、右手を伸ばした。すぐにつかまってくる、小さくて赤い手。
髪を長く伸ばした、小さな頭を撫でる。

迷子サービスまで連れていってあげようと思い、
まだ全力で泣いていたけど、少し話しかけてみる。
パパいなくなっちゃったんだ、こわかったね。
大丈夫大丈夫。パパ、きっといるよ。
お店の人に、探してもらおうね。

名前を教えてもらうと、
手を繋いだまま、一緒に歩き出した。
こんなに小さくて、柔らかいのか。
その感触に驚いた。
そして、熱い。

何だかとても愛しかった。

ああ、私は、自分の子供と、こういう風にすることはないんだな。
と思った。

前にも散々書いているけれど、子供を持つことに関して真剣に考える前に病気になってしまったので、
夢が奪われたような悲しみはない。
でも、選択肢がもうないんだ、ということを静かに悟っていくというステージは
やはり荒涼としたものだ。

私は、私の子供に会いたかったのかな?
そこまではっきりとは思っていない。
ただどうしても、周りが家族を持ち、子供を育てているのを見るにつけ
自分の体温が少し低くなるような感覚がある。

このステージは、淡々と、通り抜けたい。

ネット経由で見られるのは、親となった知り合いの姿だけではない。
既婚未婚にかかわらず、色々な理由で子供を持たない先輩たちもけっこういる。
直接、こういうことは話さないけれど
そういう生き方を参考にさせてもらおう。

後付けの被害妄想は、自分には必要ないから、
今日はそのことを、自分に言い聞かせようと思う。



















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by reeelax | 2016-09-30 03:12 | 覚えておきたいこと

お昼

色々と、考えながらも
気分転換も大事だと思うようになっていて
ちょっとした移動時間にも面倒くさがらずに、音楽を聞いてみたり
短くてもいいから、文章を読む時間を取ったりして
すうっと心が落ち着く瞬間を感じると
よかったと思う。
やっぱり、リュープリンのせいなのか、気温の変化があるこの頃は
体温調節が全然うまく行かなくて
ちょっと体調がすぐれない。
だから余計に、気持ちの余裕だけでも持っていなくちゃと思う。



仕事にお弁当を持っていく習慣は続いていて
自分でも意外だったけれど
このまま行けそうな感じがしたのと
お昼は大事な気分転換の時間だからと
思い切って塗りのお弁当箱を買った。
深い赤のつやつやの、小判型のお弁当箱は
見ているだけで心をなごませてくれる。
簡単なおかずとふりかけごはんも、不思議とちょっといいものに見せてくれて
毎朝少しだけ自分が誇らしくなる。
職場に向かうモチベーションも随分違うことに気付いて
単純だなーと可笑しくなる。

お弁当をつつむハンカチは
以前、髪の毛が抜けたときにたくさん買ったバンダナの余りを使っている。
治療中は、結局お気に入りの何枚かができてしまって
残りは引き出しの奥にしまい込まれていた。

このハンカチを買ったときには、
こんなにのんびりとお弁当を食べている日が来るなんて想像できなかった。
どんなに前が見えないと思っていても、今ここに自分がいることを
しっかり感じて、今日を生きよう。

昨日観たドラマで、人生時計という言葉を久しぶりに聞いた。
人生を一日にたとえて、年齢を3で割ると、今自分は何時ごろなのかわかる。
今の私の年齢だと、人生時計は12時ちょっと過ぎ。
それはお弁当の時間。
午前と午後の合間の、休み時間。
自分で作った分だけひいきめに、おいしい、と思いながら
玉子焼きを頬張ったりして。
周りのことはちょっと忘れてもいい。

これから、お弁当の蓋を開ける度、思い出そう。
焦らなくて大丈夫。
私の人生も、まだお弁当の時間なのだから。
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by reeelax | 2011-10-25 13:00 | 覚えておきたいこと

語りなおしのプロセスとは

哲学者の鷲田清一さんが書いた文章を読んだ。
震災から3か月ということで書かれたものが朝日新聞の記事になっていた。

昨日みたいな気持ちになった時にも、なんだか納得できる内容で
特に気に入った所を抜粋して残しておこうと思う。


*****

 子に先立たれた人、回復不能な重い病に侵された人、事業に失敗した人、職を失った人……。かれらがそうした理不尽な事実、納得しがたい事実をまぎれもないこととして受け容(い)れるためには、自分をこれまで編んできた物語を別なかたちで語りなおさなければならない。人生においては、そういう語りなおしが幾度も強いられる。そこでは過去の記憶ですら、語りなおされざるをえない。その意味で、これまでのわたしから別のわたしへの移行は、文字どおり命懸けである。このたびの震災で、親や子をなくし、家や職を失った人びとは、こうした語りのゼロ点に、否応(いやおう)もなく差し戻された。

 こうした語りなおしのプロセスは、もちろん人それぞれに異なっている。そしてその物語は、その人みずからが語りきらなければならない。戦後六十数年経っても、戦争で受けた傷、大切なだれかに死なれた事実をまだ受け容れられていない人がいるように、語りなおしのプロセスは、とてつもなく長いものになるかもしれない。

 語りなおしは苦しいプロセスである。そもそも人はほんとうに苦しいときは押し黙る。記憶を反芻(はんすう)することで、傷にさらに塩をまぶすようなことはしたくないからだ。あの人が逝って自分が生き残ったのはなぜか、そういう問いにはたぶん答えがないと知っているから、つい問いを抑え込んでしまう。だれかの前でようやっと口を開いても、体験していない人に言ってもわかるはずがないと口ごもってしまうし、こんな言葉でちゃんと伝わっているのだろうかと、一語一語、感触を確かめながらしか話せないから、語りは往々にして途切れがちになる……。

 語りなおすというのは、自分の苦しみへの関係を変えようとすることだ。だから当事者みずからが語りきらねばならない。が、これはひどく苦しい過程なので、できればよき聞き役が要る。マラソンの伴走者のような。

 けれども、語りなおしは沈黙をはさんで訥々(とつとつ)としかなされないために、聴く者はひたすら待つということに耐えられず、つい言葉を迎えにゆく。「あなたが言いたいのはこういうことじゃないの?」と。言葉を呑み込みかけているときに、すらすらとした言葉を向けられれば、だれしもそれに飛びついてしまう。他人がかわりに編むその物語が一条の光のように感じられてそれに乗る。自分でとぎれとぎれに言葉を紡ぎだす苦しい時をまたぎ越して。こうして、みずから語りきるはずのそのプロセスが横取りされてしまう。言葉がこぼれ落ちるのを待ち、しかと受け取るはずの者の、その前のめりの聴き方が、やっと出かけた言葉を逸(そ)らせてしまうのだ。聴くというのは、思うほどたやすいことではない。

*2011.6.11朝日新聞朝刊 一部抜粋

全体を書き写したと思われるものがこちらにありました。
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by reeelax | 2011-06-14 09:38 | 覚えておきたいこと

災害時のメンタルケア

【すべての方へ】災害時のメンタルケア(追記あり)
ブログ「水の反映」より
トラウマ療法であるソマティック・エクスペリエンス®(SE)の療法家(米国在住)から届いたサポートメールをSEプラクティショナーであり臨床心理士の藤原千枝子とSEトレーニーであり臨床心理士である牧野有可里氏がまとめたもの。


大切なあなたへ、大切なメッセージ【震災後の心理的被害を防ぐために】
NPOしごとのみらいのHP

***

私は、身内が軽度ながら被災したこともあり心配だったこと、
アルバイトも学校も休みになったので
PCやテレビから情報をめいっぱい取り込んでしまっていた。

ショッキングなマスメディアの報道と、ネットでリアルタイムでアクセスできる膨大な情報に
気づくと心が不安定になっていた。
脈拍が上がり、寝付けない。

ちょっと、落ちているかも。
何となく、危険を感じたので、我慢せずにワイパックスを服用し、
テレビを消した。

上記のリンクを見つけたので、落ち着いて読んでみた。

こんな時「自分ができないこと」を挙げて、ともすれば自分を責めたくなる。
募金ひとつにしたって、「仕事をしていればもっと多額の募金をできたのに」って。
でも
今、被災地でがんばっている方を心から応援しながら
自分の今日があることに「ありがとう」と思うことが大事
という記述を見て、
それは私がずっとやってきたことではないだろうか、とはっとした。

病気になったばかりのパニック状態の時、
PCの検索は、時間を決めてやっていた。特に夜は検索を止めて、ゆっくり好きなことをやっていた。
仕事も失って悲しかったけれど、
毎日朝がくることに心から感謝できるようになった。

そう。強くいなくてもいいから、弱音を吐いてもいいいから
毎日を淡々と受け止め、過ごすこと。
実はそれはとても難しいことなのは、経験上分かっている。
でも私は努力して、それができるようになってるはずでは。

節電のためにいつもより小さなボリュームで鳥の声などの環境音楽を流して
250円で黄色いライラックと、すみれ色の小さな花を何本かを買ってきて、いけた。

私は、体も心もまだ不安定。それを忘れちゃいけない。
だから私は私でここにいる。
良質の情報を選び取る能力を磨いて、
家族が安全でいられるようなことを教えてあげよう。

今回の復興には長い時間がかかるといわれている。
だから私にも何かできる時がかならず来るはず。
そのためには、その時まで淡々と立っていなくては。
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by reeelax | 2011-03-16 17:38 | 覚えておきたいこと

ストレスが少ない乳がん患者

ストレスが少ない乳がん患者は
死亡や再発のリスクが低いという記事を読みました。→こちら

調査対象者は、ステージ2と3の乳がん患者さんだそう。
私にとってはぐんと近く感じる調査。

 ”介入プログラムの患者には、8~12人のグループで臨床心理士による講習会を受けてもらった。最初の4カ月間は、週1回、リラクゼーション法の一つである漸進的筋弛緩法や、疲労などの一般的な問題の解決法、家族や友人からサポートを得る方法、運動と食事のアドバイス、治療の副作用に対処する方法、治療を続けていく方法などを学んだ。続いて、8カ月にわたり、月1回のペースで講習会を受講した。”

調査の結果をどう取るかは各自の判断だと思う。
ただ私は心の在り様はかなり大事な要素だと思って治療も受けてきたし
これからも過ごしていくつもりなので
あらためて、リラックスすること、疲れをためないことなどは
大切にしていかないとな、と思う。

少しずつ、いわゆる「通常」の生活に戻って行くにつれて
無理を重ねている自分がいるから、引き戻さないと。

冷房の中、寒いと思いながら周りの目が恥ずかしくて薄着でいる自分
忙しくて野菜食べる量が減っている自分
ゆっくり湯船に浸かる時間と体力がなく、シャワーで済ます自分
つい予定を詰め込んでしまう自分
こんな昔の自分がそろそろ顔を出すようになってしまったから
反省のために書き出しておく。



でも、努力してることもあるね。
できる限り、予定の後は休みを取らなければと調整している。
買い物も、できるものはネットを利用して体力温存。
申し込みなどの手続きも、電話や出向くより、オンラインで行ってストレスすくなく。
洋服の趣味をカジュアルに変更して、パンプスからスニーカー中心に。
ソックスもはいてなるべく足元はあたたかく、らくちんに。
上半身は少し抵抗があるので、足のリフレクソロジーに行く。
ジェルネイルに費やしていたお金は、これからはこのリフレクソロジーにつかおうかな。
高くても、野菜やフルーツはちゃんと食べる。
病友さんとのかかわりは細々とでも続けている。
入浴剤やキャンドル、アロマ、クラシック音楽など、
細切れ時間でリラックスすることを面倒くさがらずにするようになった。

そして見栄をはらなくなった気がする。


完璧でなくても、心地よくあろうとすること。
それはやっぱり大事なんだと思う。
私はそう信じてこれからもやっていこう。
それが、後悔のない人生の終わり方につながる気がする。
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by reeelax | 2010-07-03 13:07 | 覚えておきたいこと

喜怒哀楽は全部対等

最近読んだ文章が、自分にはとてもなじむものだった。


「悲しい」と思うこと「つらい」と思うことを
いけないことだと思ってはいないか?

喜びや楽しみは“良い”感情で、
悲しみや怒りは“悪い”感情だって思っているなら
それは違う。

喜怒哀楽は全部対等。セットでひとつ。


そんな内容。
コーチングのプロが、働く人向けに書いたものだったのだけれど
私にはとても納得が行くものだった。



私の場合は
告知を受けた時から
悲しい時はやせ我慢をせず、
楽しいときは心からそれを味わう
ということを続けてきた。
それは、言葉にできなくとも、
「喜怒哀楽は全部対等」だと思っていたからなんだなと
腑に落ちた。
自分のやり方に言葉を当てはめてもらった気がしてすっきりとした。


社会に復帰して、小さなつまずきにたくさん出会う。
たとえば自分にがっかりしたり、あせっても
「がっかりすることはいけないこと?あせるのは悪いこと?」
と自分に聞いてみることにしよう。
感情は全部対等。


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by reeelax | 2010-04-19 09:31 | 覚えておきたいこと

顔にあざのある店員さん

昨日、ネイルのトップコートを買いに行った。

可愛らしいものがたくさんあるこういうお店はバラエティーショップと呼ぶのだろうか、
何も買わなくても寄り道しては、コスメや文房具を見て和んだりしている。



お会計をしてくれた店員さんは20代の愛らしい感じの方だった。
けれど彼女の顔の半分はあざで、皮膚が沈んだ色になっていた。
彼女は、自然なセミロングで、薄めのバングスで
特にあざのある部分を隠そうとしていない。
ファンデは丁寧に塗っているのかもしれないが、
あざをかくすのにはあまり役立っていない。
でもとても綺麗なきめのととのった肌をしていた。

彼女の振る舞いはとても自然だった。
まつ毛にナチュラルなエクステををして、濃い目のアイメイクは今時な感じだったし
買ったものを包んでくれる細い指先のネイルは
それはきれいに整えられていた。
長めのラウンドカット。
やさしい、ベビーピンクのネイル。
ゴールドのホロが素敵にアレンジされている。

いかにも、こういうお店で働いている感じのお洒落な雰囲気。


そうなんだ。彼女は、このお店で働きたくて自分で応募したのだよね、
とふと思った。

人と触れ合う仕事。
若い女性の顔には大きなあざがある。
でもそんなことが彼女を止めなかったから、彼女はこうやって、
私のトップコートを包んでくれているのだ。


病気になってもまあまあやりたいことをしてきたとは言え
知らず知らずに自分で「これはできない」とか「やっちゃいけない」とか
単純に遠慮してしまったりとか、
そういうことが実はたくさんある気がした。
特に、仕事復帰に関することは、その路線で考えがぐるぐる回ることが多い。

お釣りと、商品を渡してくれた彼女。
その目は真っ直ぐこちらに向いていて
落ち着いた声の持ち主だった。

あざがあるけれど、頑張っています!
という主張でもなく
あざを見ないふりをしていただけますか?傷つくので
というお願いでもなく。

淡々と、ただ自然に。

何も、動じることはない。
私は、私。
かけがえのない、大切な私。

色んな思いをしてきたからこそ、大切な。



誰に向けてなのかわからないが、ありがとうと言いたくなった。


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by reeelax | 2010-02-19 10:07 | 覚えておきたいこと

34歳 シングル 始まりは乳がんstageⅢC。術前化学療法・部分切除・放射線治療・術後ハーセプチンまで終了。現在ホルモン療法中。自分の心と体を大事な友人のように扱いながら治療の日々を過ごしてきました。


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