人気ブログランキング | 話題のタグを見る

隣の女性

夕食に入った店で隣り合った女性。
私より少し年上かな。

テーブルの間隔が近く、どうしても会話が耳に入ってくる。

どうやら、同じ病気。

同じホルモン療法中。

ホットフラッシュに悩まされているといいながら

友人らしき女性と食事をしていた。



みんな、同じ思いを越えて、ひっそりと強く立っている


そう思って店を出た。


最近書く内容の繰り返しのようになってしまうけれど
治療を終えて一般の世界へ戻り出すと
自分がいわゆる病み上がりだということを
却って感じるようなこともある。

体力は落ち、動悸があり
記憶力が低下している気がする。
やはり術側の腕は少しだるく、
重い荷物を持つことを、極力避けたくなる。
少し長さの足りない髪。伸びきっていない細い睫は、マスカラが乗り切らない。
ホットフラッシュと、その逆の寒気の対策のために
極力体温調節の効く服装が必要。
ハイヒールや革靴はもうはかない。

以前だって、自分の容姿や仕事のパフォーマンスが完璧だったわけではないのだ。
だから、
今の状態は、そのような自分に変わったということで、普段は納得しているのだけど
やはり、寂しさを感じることもある。
皆と違うかもしれない、と思うことは誰だってちょっとぎこちないものだから。

そして、先週だったか
一緒に仕事をしていた仲間の華々しい現在の姿を
偶然知ることとなってしまって
実はそのことで久々に大きなため息をついた・・・という出来事があった。

病気のせいだけではない。それは分かっている。
でも病気で休んだことは、キャリアの上ではブランクになってしまったことは確か。
まあそれも含めての人生で、
かなり進行した状態でヘビーな治療を乗り越えて、
また仕事に戻れるだけでも私はかなりラッキーであると言える。
そして、少し新しい分野で目標を見つけて、ゆっくりとチャレンジをはじめているのだけど
感じ始めていた手ごたえや充実感が
とてつもなく陳腐に見えるような
そのくらいの眩しさをもって、元同僚の姿が飛び込んできたのだ。


そんな風に思っていたところに、
偶然隣り合わせたおなじ病の仲間。

大丈夫、またやって行ける。
そして私は、今の私でOK。
成功をしている同僚に拍手をして、眩しさに目を細めて
そして私は私の道を行こう。
仲間だって実はたくさんいる。

まだ、30代だもん。ゆっくり進んでも、遠くへ行けるはず。


これが私の人生。
by reeelax | 2010-10-12 09:42 | 病気のこと

34歳 シングル 始まりは乳がんstageⅢC。術前化学療法・部分切除・放射線治療・術後ハーセプチンまで終了。現在ホルモン療法中。自分の心と体を大事な友人のように扱いながら治療の日々を過ごしてきました。


by reeelax