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憧れの朝食を手に入れる

関心のあることというのは引き寄せ合うのか、
ちょっと嬉しいことがあった。

ひとつ前の記事の「一ヶ月のパリジェンヌ」という本を見つけてから
人生何度目かのパリブームが私の中にやって来た。
パリと付く本を本棚から引っ張り出してみたり
図書館から借りてきたり。



私のパリへの憧れの中に、
非常にステレオタイプなのだけれども
「朝、近所のパンやさんに歩いて行って焼きたてバゲットを買いに行く」
というのがある。
すらりとしたバゲットを紙袋に入れてもらい
新聞と一緒に買って部屋に戻る、みたいな感じで。

パンは焼きたてが一番おいしいものだから、自分の部屋のごく近所に
そういうお店があったらいいな~と思ったりもしたけれど
ここは日本、しかも都会ではない住宅地のど真ん中
コンビニやらスーパーは、近所に沢山あっても
おいしいパン屋さんはない。
出来合いのパンではなく、ホームベーカリーの焼きたてパンでもなく、
パン屋さんに歩いて行くこと。
私の生活の中では
週末の昼に、彼に車でお気に入りのパンやさんに連れて行ってもらうことが
最もそのイメージに近い行為だ。
自分としては乳製品も控えている訳なので
まあそれでそこそこ満足していたのだけれど。



ところが先日病院へ行って
病友さんとお話しながら診察を待っていると
その方が大きな荷物を持っている。
遠くから通って来ている彼女は
病院へ来る途中に大好きなパン屋さんがあり、
診察の度に大量買いしていると言って、何と少し分けてくれた。
香ばしいバゲット。かみ締めるとバターと粉のいい香り。

よく聞いてみると、そのお店は私の使う駅に近いと言う。
もっとよく聞いてみると、その駅から、私の部屋の方に進んだ場所にある。

説明がかなり長くなったが、歩いて5分の所に、(おいしい)パンやさんがあったのだ。

とても小さくて、3人もお客さんが入れば一杯の小さな店。
パンが売れてしまえば夕方には閉店してしまう。
でも、何かちょっと頑張った時、ゆっくり起きた朝に
すっぴんのままキャップを被ってまだ温かいパンを手に入れることができる。
こんな絵に描いたような偶然は、私の住んでいる場所ではまず無理だと思っていた。
これから私のご褒美に、レパートリーがひとつ増えた。

今日も、焼きたての小さなバゲットを買ってきて
たっぷりのほうじ茶&豆乳と一緒に朝食を楽しんだ。



病友さんに話を聞かなければ、このまま出会うことはなかったかもしれない。
灯台下暗し。
小さなハッピーの種は、自分の近くにも本当に落ちているのだなと改めて感じた。
日常を大事にすることは
体が回復しても忘れないようにしよう。
そうやってバランスを、とって行こうと思う。



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by reeelax | 2010-03-11 16:24 | 日々のこと

34歳 シングル 始まりは乳がんstageⅢC。術前化学療法・部分切除・放射線治療・術後ハーセプチンまで終了。現在ホルモン療法中。自分の心と体を大事な友人のように扱いながら治療の日々を過ごしてきました。


by reeelax